○よって、電子商取引が実際に広く実施されていない現状において、机上の議論のみをもって、電子商取引で生じるであろう多くの課題についての解を明確にすることは困難と考えられる。このため、本報告書では論点を整理した上で、その具体的な解決方法や対処方針については実践を踏まえた今後の検討に委ねている点が多い。
○その意味で、本報告書は、電子商取引が今後発展していく際に、問題となる可能性のある制度的な論点を幅広く整理したことに意義があり、言わば字義どおりの中間報告として、今後の建設的議論のための最初の「たたき台」として公表されるものである。
○なお、中小企業に関しては、クレジット取引の場合に限らず、電子商取引の進展に対応できない者が取引から排除されるおそれがある等の懸念があり、これらの問題について、中小企業に配慮した解決方法や対処方針を検討する必要がある。
【今後の展開】
○上記の認識の下で、通商産業省としては、電子商取引の実証実験を実施し、そのテストベッドの中で、技術的課題のみならず、今回の議論の対象となったような制度的な課題についても検討することとしている。
○具体的には、実際の消費者、流通事業者、ネットワーク事業者等が参加する電子商取引関連のプロジェクトのメンバーにより構成されている電子商取引実証推進協議会(会員175社(うち8社手続中)、平成8年4月17日現在)の中に、今回の報告書で列挙した様々な課題について検討するワーキンググループを設置し、そこで実証実験の中での評価等を踏まえ、かかる課題についての対応の方向性や具体的な解決策を整理してもらうこととする。その際、他の関係機関との連携・協力がなされることを期待したい。
(参考:電子商取引推進協議会に存在するワーキンググループの例)
電子商取引決済関連検討WG
国際取引検討WG
認証局WG
プライバシー検討WG
消費者問題検討WG など
○従って、本研究会は、これで審議を終了するわけではなく、いくつかの課題について、実証実験を通じて、一定の整理が行われたところで、逐次本研究会を開催し、その報告を受けることとする。その上で、本研究会のメンバーによる議論、検討を実施し、その成果をとりまとめ、必要な提言等を行っていく予定である。
○また、本中間報告書は、電子商取引実証協議会のホームページ(http://www.ecom.or.jp)の掲載し、広く様々な見地から御意見を受け付けています。